ブックタイトル日本建設機械要覧2016-試し読み

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概要

日本建設機械要覧2016-試し読み

4 - 14概   説土木工事や砕石・鉱山現場での運搬作業には,その現場の条件,運搬対象物の種類などから,特装車を含めたトラック類と不整地運搬車,コンベヤ,モノレール,およびその他運搬機械が使用される。ここでは,公道を走行することを前提とした「オンザロード」と公道を走行しないことを前提とした「オフザロード」のトラックおよび重ダンプトラックについて紹介する。1.重ダンプトラック重ダンプトラックは「オフザロードダンプトラック」とも呼ばれており,公道以外の過酷な稼動条件の現場で大量の土砂,岩石を効率よく運搬できるよう設計されている。そのため,公道を走行する普通ダンプトラックとは異なる建設機械として,耐久性・安全性・オペレータ環境等の配慮がなされ,設計されている。重ダンプトラックは大きく分けて,固定フレーム式のリジッドダンプトラックと屈折フレーム式で全輪駆動が可能なアーティキュレートダンプトラックがある。一般的には,リジッドダンプトラックは比較的路面状況がよく,大量の土砂運搬が必要な現場で使用され,国内では積載質量25 ~ 218t の機械が稼動している。アーティキュレートダンプトラックは,その走破性を生かして軟弱地で使用されるほか,狭い車幅・低車高を生かしてトンネル工事にも使用され,積載質量24~41t の機械が稼動している。重ダンプトラックに求められる特性としては,時間当り生産量(運搬量)やトン当りコストで評価される高い生産性がある。そして,高い生産性を維持するために,メンテナンスに手間がかからず高い稼働率を維持する信頼性と耐久性が求められている。さらに,オペレータ重視の観点からは安全性と快適性が求められている。最近の動向としては,生産量把握の容易化,オペレータの負荷軽減,トラブルの未然防止のための車体モニタリングシステム等メカトロニクス技術が織り込まれている。重ダンプトラックは高い生産性や耐久性,安全性および快適性を実現するために以下の特長を有している。[ボディ(荷台)]積込み性,荷姿,放荷性を考慮して設計され,リジッドダンプトラックではV 型形状ボディ,アーティキュレートダンプトラックでは舟型形状ボディが主流になっている。ボディを構成する板材は,耐摩耗性に優れた超高張力鋼板が使用されている。[エンジン]高出力を得るため,ターボチャージャ,アフタークーラ付きディーゼルエンジンが採用されている。近年は排気ガス規制強化に伴う排気ガス清浄化と燃費改善をねらい,電子制御や高圧燃料噴射等の技術が織り込まれている。[トランスミッション]プラネタリ式または多軸式で,電子制御により負荷に応じた最適な変速を行うフルオートマチックトランスミッションが主流で,ロックアップ機構により伝達効率を高めている。過負荷に対する保護機能を有しパワートレインの耐久性向上が図られている。また,変速に伴う誤操作・誤動作に対してもフェイルセーフの配慮がなされている。[ブレーキシステム]高い信頼性・安全性を確保するため,ブレーキは通常のサービスブレーキ,駐車ブレーキに加えて,セカンダリブレーキ,リターダブレーキを備えている。ブレーキ回路は2 系統または3 系統を有しており,作動方式はエアオーバハイドロリック(空油)式と全油圧式がある。近年は全油圧式が主流で,作動遅れが短縮され, 信頼性,メンテナンス性が向上している。[リターダ]下り勾配での降坂車速を抑制させるためリターダが装着されている。近年はオペレータのリターダ操作を容易にするため,降坂車速を電子コントロールで一定に保つオートマチックリターダが商品化されている。[ステアリング]狭い現場での旋回性を考慮し,旋回半径を極力小さくするよう設計されている。リジッドダンプトラックは前輪で,アーティキュレートダンプトラックはフロントフレームとリヤフレームを屈折4.運 搬 機 械HAULING EQUIPMENT4.1 トラックおよび 重ダンプトラックTRUCK & OFF-THE-ROAD DUMP TRUCK