ブックタイトル日本建設機械要覧2016-試し読み

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概要

日本建設機械要覧2016-試し読み

4.運 搬 機 械4 - 24(Articulated)させてかじ取りをする。いずれも,油圧式を採用しているため操作力は軽くなっている。万が一エンジンの停止や油圧ポンプのトラブルが発生しても,補助かじ取り機構が作動し,緊急避難できるよう安全性を確保している。[サスペンション]窒素ガスを封入したハイドロニューマチックサスペンションが主流であり,乗り心地を改善するとともに不整地を走破するのに威力を発揮する。積載状況,車両走行状況に応じてサスペンションの減衰特性を自動的に制御するオートマチックサスペンション機構を採用しているものもある。[タイヤ]タイヤはバイアスタイヤとラジアルタイヤがあり,稼動条件を考慮した適切な選定が重要である。アーティキュレートダンプトラックは軟弱地走行の観点からラジアルタイヤを標準装備しており,リジッドダンプトラックでも,最近は走行抵抗の減少,燃費改善の観点からラジアルタイヤが主流を占めている。[フレーム]フレームは強固な箱型断面構造で,応力集中部には鋳鋼を採用するなどして必要強度を確保するとともに軽量化を図っている。[キャブ]長時間キャブ内で仕事をするオペレータの負荷軽減を図るため,エアコン,サスペンションシートを装備したワイドなキャブが一般的であり,キャブ内振動・騒音を低減するために防振構造の採用と気密性の向上がなされている。キャブには,万が一車両が転倒してもオペレータを保護するROPS(Roll-Over ProtectiveStructure)構造と,落下物からオペレータを保護するFOPS(Falling Object Protective Structure)構造が装備されている。ROPS,FOPS ともISO およびSAE規格を満たす設計がなされている。[手摺り・ラダー・階段]乗降時やメンテナンス時の転落防止と安全なアクセスのため,必要箇所に手摺りやラダーや階段が装備されている。[モニタリングシステム]自己診断機能を備えたモニタリングシステムを搭載し,車両の異常に対する適切な対応,トラブルの未然防止と稼働率向上を図っている。[車載型積載質量計測システム]作業の進捗を正確に管理するためには運搬量の把握が必要である。そのため,重ダンプトラックではサスペンションにかかる荷重から積載質量を計測・記録するシステムが商品化されている。記録したデータはパソコンにダウンロードすることができるものもあり,管理の効率化に有効である。[安全装備]後方の視界を確保するリヤビューカメラ&モニタが標準的に装備されるようになってきている。更にオペレータの死角を減らすために追加カメラやラウンドビューシステムの商品化もすすめられている。また,ユーザの要求に応じて最高速度を設定できるシステムや,タイヤ過負荷防止のために過積載されると車速を制限するシステムが採用されている。重ダンプトラックは,以上述べた基本的特長に加え,近年,積載質量や車両の稼動状況データを無線で管理事務所に送信しリアルタイムで作業の進捗が管理できるシステムも開発されており,今後も情報化が進むと考えられる。2.普通ダンプトラック現在最も普及している機種であり,オンザロードのトラックシャシに荷台,荷台傾斜装置,油圧装置を備えた車両である。ダンプの方向には,荷台傾斜によって後方および側方などがある。ダンプ方向に応じて,リヤダンプ,サイドダンプ,三転(3 ウェイ)ダンプと呼ぶ。わが国ではリヤダンプが圧倒的に多く,サイドダンプや三転ダンプは特殊用途車両として中・小型ダンプの一部に見られる。普通ダンプトラックは価格も安く,公道走行可能なことから土砂,砂利,砕石,合材などの運搬に広く使用されている。大型ダンプ車は,一般に軸距が短く,駆動形式6 × 4 のシャシが多く使用されているが,最近,従来のダンプ車よりも軸距を延長し,積載量が約2 ~ 4t ほど増加できる車両総重量22 ~ 25t のダンプ車が使用されるようになってきた。また,排気ガス規制強化に伴い,大型ダンプ車ではSCR 付きエンジンが主流になっている。また,中・小型ダンプ車においても一部でSCR 付きエンジンが採用されている。また雪道,不整地,急坂路などの走行に適した4 × 4 の走行駆動形式の車両もある。3.トラック建設工事に使用する器具,機械の運搬に使うトラックは,一般の貨物輸送で使用されている普通トラックと特に区別されていないが,能率的に積込み,積下ろしをするための専用荷台を架装したものもある。また器具,機械運搬時の全高を低くするために低床式車両が使われる。工事現場では,不整地走破性のよい全輪駆動車両が使われることもある。また,最近は環境対策の他に燃費基準適合や車両の安全装置充実が図られている。環境対策のため,SCR(Selective Catalytic Reduction)による排出ガスの浄