ブックタイトル日本建設機械要覧2016-試し読み

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概要

日本建設機械要覧2016-試し読み

4.運 搬 機 械4 - 184 概   説トラクタとトレーラの連結形態には,大きく分けて,セミ,フル,ポールの3 方式がある。セミトレーラ方式は荷物の積載部分がトレーラ側のみで,トラクタ側はトレーラにかかる荷重の前側部分を支えると同時に連結するカプラ(第5 輪)で連結走行する方式である。ポールトレーラ方式は橋桁,コンクリートパイル等の分割できない長尺物運搬用であり,トラクタまたはトラックの荷台にターンテーブル(ボルスター)を装備し,ポールトレーラのドローバーをピントルフックに連結する。積載物である橋桁等の前端をターンテーブルに,後端をポールトレーラに固定してそれぞれ荷重を分担する。したがって,荷物自身が車体構造の一部を形成するため運搬物は橋桁,コンクリートパイル等の剛体に限られる。フルトレーラ方式は,上記2 方式と異なりトラクタ自身も積載部分(リアボディ)をもち,ピントルフックを介してトレーラを牽引する。このトレーラには2種類あり,ドーリ固定式とドーリ分離式がある。分離式は,ドーリプラスセミトレーラの形となっており後退時の操舵性向上とブレーキ時のジャックナイフ防止のため,ドーリにロック機構を備えている。セミトレーラ方式で使用される連結器(カプラ)は,その上面を形成するベースプレートでトレーラ前側部分の荷重を支え,ベースプレート中央部の爪(ジョー)がトレーラのキングピンと結合し牽引力を伝達する機能を有し,トラクタの後輪中心から前方にオフセットされ装着されている。型式は,ピッチングとローリングが可能な2 軸式とピッチングのみの1 軸式がある。前者は,主に重量物運搬用あるいは悪路走行用に,後者は,良路を走行するトレーラ,例えば,高速雑貨用バントレーラ,海上コンテナ用トレーラ等に用いられる。連結車は,トラクタとトレーラの連結・切離しが容易にできることが条件であるので,その容易さから制動方式はエアブレーキ式が一般的である。連結車を計画するにあたっては積載物の種類,質量,使用するトレーラ仕様,トラクタの能力などの検討はもとより,運行する道路条件など十分な検討が必要である。一般公道走行の場合は,道路運送車両の保安基準,道路法の車両制限令,道路交通法等の適用を受け,車両の長さ,幅,高さ,車両総重量,牽引可能質量,最高速度,その他多くの制約があり,特に,車両制限令では,連結時車両総質量,最遠軸距(トラクタ最前輪中心とトレーラ最後輪中心までの距離),最大軸重,通行経路の道路条件,橋梁の通行条件から通常A・B・C・D の4 段階の通行条件が付加され,D 条件では最も厳しい制約を受ける。また,特殊な大型貨物の場合,1 回限りとして個別条件が与えられる。トラクタトレーラによる貨物の運搬について道路運送車両法の保安基準で定められたセミトレーラの車両総重量は28t であり,積載量はおおむね20t 程度になる。一方,建設機械には30t を超えるものも多く,そのままでは運搬できない。保安基準では,このような場合「保安基準緩和」措置により積載量(車両総重量)を増大させて運搬が可能である。この保安基準緩和には,「分割不可能な単体貨もの」輸送と「分割可能貨物」輸送の2 つのケースにより制度が設けられている。「分割不可能な単体貨物」緩和は,積載量(車両総重量,軸重)のほか,全幅,全長等にも適用され,建設機械,重量構造物輸送のセミトレーラはほとんどこの緩和認定を受けた車両である。「分割可能貨物」緩和は,セミトレーラ車両総重量36t 上限で,車両総重量の緩和のみ適用される。また適用される車種も特例8 車種(バン型,幌枠型自動車運搬型,タンク型,コンテナ型,煽り型,スタンション型,船底型)に限られるが,積載物の特殊性の規定はない。「分割不可能な単体貨物」の基準緩和が認められる基本的な要件として,①分割不可能な単体物であること,②輸送の必要性があること,③輸送時の安全性の担保等があり,これに基づいて各地方運輸局にて書類審査される。輸送する貨物が大きく,重くなるほど審査は厳しくなり道路管理者である各地方整備局や警察と事前協議を行わなければならないケースもある。4.2 トラックトラクタTRUCK TRACTOR